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  • 執筆者の写真clue journey

story of "kiminiyoru"

すぅといういかにもな可愛い寝息を聴きながら、今日も私の一日は幕を下ろそうとしている。

こんにゃろ、と頬をつつける距離にいるのが一番いい。のだけど、そこまでの道のりは遥か遠く、と言った感じで、今はこの寝息を聴くだけで我慢することにする。


えらく大きなことを言うようだけど、人間の欲ってモノは留まることを知らなくて、ひとつ何かを得る度、また次の何かその先へ。尽きることなんてないんだと、一人で実体験としている。今まさに。

始めた時はまさかこんなにできると思っていなかったこの、いわゆる寝落ち電話も、その例には漏れていない。

思い切って寝るまで電話繋いで、と言った私に、なんの気もないことの分かりすぎる、速攻のいいよを君は返してきた。

少し眠そうないつもより少し低めの声を初めてスマホ越しに聴いた時にはもうこれ以上なんて!と思うほどだったけれど、今はもうそれだけじゃ物足りない。


というかむしろ最近は私が寝るまでじゃなくて、君が寝るまでの電話になっていて少し怒っている。ことになっている。


それはどっちでもいいのだけど、君の声を聴く度に、触れたい、愛しいを君に伝えたいと思うようになった。


愛しいだなんて言葉を使うようになるなんて自分でもびっくりしているけれど、この気持ちは愛しいという言葉がとても似合う。

私の知らなかった愛しいという言葉の中身にしたい。


君の寝息だけの通話音声以外には、私の部屋の時計の秒針の音が鳴り響いている。


今、好き、と、愛しい、と口に出してしまえば君に聞こえるのだろうか。

君は本当に寝ているのかな。聞こえないのかな。

むしろ聞こえないのがもどかしくなるほどでもある。


矛盾する思いをどちらも大切に抱えながら、今日も私は、音になるかならないかのものを、君に聞こえるように願いながらそっと呟く。


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時間が、ない。 いつからだろうか、そんな風な思いが頭の隅のひと部分をずっと占めている。 難病を患い、死期が迫っているわけでもない。まだ24なので、高齢というわけでもない。 それでも常に、そんな風な思いがある。 小さい頃は、周りの子供より自分は大人だと信じていた。だからわがままも我慢できたし、クッキーの最後の一枚は譲った。周りの友達の間に入って、喧嘩がひどくならないように動くこともあれば、気持ちが落

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